「三波〜。また遅刻か」
教室に入る前に丁度ホームルームが終わったのか、担任が教室から出てきた。
「……うん。まぁ……」
「うん、じゃなか! 気をつけんしゃい!」
「……はーい…」
……うるさい。頭痛くなる……。
「昨日は何で休んだが! 風邪だって村田が言っちょったが、家に電話しちょーに出んし!」
和也が言ってくれたんだ……。
「……風邪だよ」
「次からは連絡せぇ!」
「……はい」
担任は言うだけ言って、あたしの横を通り過ぎた。
溜め息をついてから、教室に入る。
「綾っ、おはよ!」
「……おはよ」
理一の席の前に座っていた和也が1番に話しかけてきたけど、理一はあたしを見ない。和也は気まずそうに頭を掻く。
窓際の1番後ろ。自分の席に座ると、
「風邪治ったかや?」
と、麻実と話していた隣の席の京が、あたしを見て話しかけてきた。
「……あ、うん」
「ならよかったけん」
京はそれだけ言って、麻実と会話に戻った。
……ビックリした。
もう話さないだろうなって思ってたのに……。