あたしの初恋の人。

初めて手を繋いだ人。

初めて寄り添って寝た人。

初めてキスした人。


大切な人。



幸せになって。

あたしのことなんか忘れて。


好きで一緒にいたかったあの時は、気づきもしなかった。


やっぱり無理なんだよ。京がいくらあたしを好きでいてくれても、ずっと一緒なんて無理なの。


あたしはいつかいなくなる。いなくなる前に、離れるしかないの。それが京のためなんだよ。


自分勝手だよね。また、「俺の気持ちは無視かや」って、言われちゃうかな。



あたしが弱いばっかりに、京をたくさん傷つけたね。


もういいよ。

京はあたしを忘れてね。あたしは京を、忘れないから。


もう京を傷つけない。

だから、愛を捨てたの。


あたしは弱いから、いつか死ぬと分かっていながら、京の隣で笑い続けられないの。


あたしの病気を治すだなんて、そんなことしなくていい。


あたしはもう、京を縛りつけたくないよ。


京を守るために、京が幸せになるために、さよならしたんだよ。



……京。

もう伝えることはできないから、心の中で、伝えるね。