─────ドッ!
「ふざけんなや!!」
理一の拳が、顔の真横の木を殴った。パラパラと、木くずが肩に落ちる。
……ごめんね理一。
あたしを、憎んでいいよ。
「頼むが綾……お前は、そんな風に言うやつじゃないじゃろ……」
拳を木につけたまま、理一の頭がうなだれた。
理一の髪が、あたしの頬に触れる。
……あたしはどれだけ、理一の中で綺麗な存在なんだろう。
こんなに卑劣で、最低なのに……。
「綾……」
弱々しい声がする。
見上げると、10センチも離れてない所に理一の綺麗な顔があった。
「何……?」
あたしは理一の顔を見ながら、過去を振り返っていた。
「これが最後だけん……」
「……うん」
理一の唇が、薄く開いた。
「……俺と付き合って」



