「……っ綾ちゃん!」
理一に告白した先輩が、あたしの名前を呼んだ。
振り向くと、申しわけなさそうに涙を流してるだけで、何を言っていいか分からないという感じだった。
あたしは手を振って、笑った。
「そのハンカチあげます!」
だから頑張って。
涙を拭って、また踏み出して。
あたしは理一たちの所には向かわず、キャンプファイヤーからだいぶ離れた場所にひとりで座った。
先輩に呼び出されてよかった。
これで花火を一緒に……約束をしなくて済む。
地面に座り、木に寄りかかる。
見上げると、誰もいない校舎。振り向くと、騒がしい校庭。あたしはまた校舎を目の前にして、騒がしい校庭に背を向けた。
……迷いはない。
あたしは、京と理一を手放すことに決めていた。



