「あたしは理一のそばから、京からも離れます。しゃべるなって言うなら、もう話しません」
「えっ……」と少しだけ呻いた先輩。周りの先輩も驚いている。
「分かってるんです。あたしが曖昧にしてるせいで、誰かを……先輩を、傷つけてることくらい」
「違うがっ……ごめん、そうじゃないけん!」
「あたしたちはっ、理一くんを好きじゃないなら、はっきりしてほしいって言いたかっただけだが……」
あたしの言葉に焦ったんだろう。みんな戸惑っている。
でも、あたしは首を横に振った。
「他の人にも同じようなこと言われました。……先輩たちのためじゃないです。あたしが、離れようって決めてたんです」
静かに微笑むと、先輩たちは黙ってしまった。
「綾ちゃん……聞いちょったのと全然イメージ違うが……」
「……イメージ?」
「……陸上部の後輩で、京くんを好きな子がいるけん……」
あぁ……多分麻実かな。麻実は陸上部だもん。
「……話すななんて言わんけん……ただ、はっきりしてほしくて……。ごめん……先輩のあたしがこんなこと言うために呼び出したりして、情けないが……」
「そんなことないです。本当に理一が好きなんですね。……お友達も、先輩をすごく大切に思ってて。……羨ましいです」
先輩たちの顔を見ず、あたしは頭を下げてから向きを変えて歩き出した。



