「……ありがと……みんなには言わないでくれる?」
「え……でも……」
「大丈夫だよ。喧嘩するわけじゃないんだから」
あたしは答えを聞かず、足を前に進めた。あたしを呼び出したのは、女の先輩5、6人だった。
「………」
あたしは先輩達の前まで歩き、無言で6人の顔を見つめた。
「三波綾ちゃんだよね?」
「はい。そうです」
何を言われるか、あたしは分かっていた。
さっき理一を呼んだ先輩が、あたしの目の前に立っていたから。
「綾ちゃんさ、理一くんの何?」
「友達です。中学からの」
あたしの答えに先輩たちは顔を見合わせて、次々と質問を投げかけてくる。
「この子、さっき理一に告ってフラれちょーよ」
「綾ちゃんは? 理一くんが好きなんかや?」
「綾ちゃんいっつも理一くんたちといるが」
「京くんと昔、付き合っちょったんじゃろ?」
黙って聞いていると、理一に告白した先輩が顔を歪めて初めて口を開いた。
「こんなこと、言いたくないんじゃけど……綾ちゃん……理一くんも京くんも、独り占めしちょって……ズルいけん」
独り占め……そんな風に見えるのか……。
きっと、京と付き合ってたことも、理一があたしを好きなことも、思ってた以上に広がってたんだろうな……。



