「お嬢ちゃん可愛いから、ひとつオマケしちゃる!」
「へ……」
300円を差し出したままポカンとしてるあたしに、町内会のおじさんが笑顔でふたつお好み焼きを渡してくれた。
「あっ、ありがとうございますー!」
「うまいけんねー」
「あははっ」
笑顔で300円を渡して、お好み焼き屋から離れる。
わーっ、オマケしてもらっちゃった!
ふたつも食べられるかな。いや、食べる! 食べて気分を紛らわせないと。
パックに入ったお好み焼きを両手に持ち、元いた場所に戻る。
「……っ」
思わず、立ち止まってしまった。
ダメダメ……歩かなきゃ。
突然重くなった足を、無理やり前に進める。
「は!? 何でふたつ持っちょーの!?」
あたしに気付いた和也が、両手に持っているお好み焼きを指差す。
「どんだけ食う気かやっ」
ぶくくっと口を押さえて笑う理一。京も陸も陽子も朋も、みんな笑っていた。
ただひとり、麻実だけを除いて。



