京の話を、みんな黙って聞いていた。
ポタリと、足に涙が落ちる。
「綾は……治らないの……?」
ぐすっと鼻をすする朋。
「……俺が治すけん」
少し肌寒い空気が、頬を撫でる。
薬で色素が抜けた髪が揺れる。
……京。
……京。
お願いだから、嘘だと言って。
「でも……そんなに治しちょーなら、何でこっちに戻ってきたが。東京でもっと……医者になるまでいるとか……そんぐらいの決意で行ったんじゃないんかや?」
「和也するどいな〜」
ははっ……と、乾いた笑いが聞こえた。
「……信じられんかもしれんけど、俺ねー……東京で綾を見たけん。ほんの一瞬」
え……。
「京それっ……!」
「俺らが修学旅行で東京行った時だがっ!」



