「……あの時? だって綾……風邪だって……。あ……綾、何の病気なの?」
「心臓関連の病気だけん。原因不明の」
「嘘……あんなに元気なのに…っ」
朋の泣きそうな声が聞こえる。
……京。
嘘でしょう?
何も言わずに夢を追いかけたのは、あたしのためだって言うの?
「……綾の病気って、激しい運動続けちょると発作起こすだけじゃねーの?」
「違うが。何の前ぶれもなく発作起こすけん」
「マジかよ……」
「嘘でしょう……」
「なぁ……東京に行ったのも、綾のためなんかや?」
「……こんな田舎じゃ何も分からんけんね。大学付属の私立行って、先生に綾の症状を話して、心臓外科の病院回ったり、詳しく話聞いたりして……」



