「……綾?」
「………」
「おい綾っ」
「へ? あっ、何!?」
顔を上げると、理一があたしの手元を指差す。
「何回重ね塗りするつもりかや」
「あ……いや、丁寧に塗ってただけだもん!」
あたしが赤く塗っていた“文”の文字は、すでに塗り終わっていた。
「綾が丁寧って」
はんっと鼻で笑われて、あたしはムッとする。
「理一は細かすぎでしょ!」
あたしは理一が塗ってる“祭”の字を指さす。
「なん!? 俺の美的センスに文句つけちょー!?」
「何よ美的センスって! 色塗るのに美的センス必要!?」
「当たり前じゃろーが!」
「センスも何も、1色しか使ってなか」
京のひと言に、みんなが吹き出す。
「あはは! たしかにー!」
「お前ら俺をバカにしすぎだけん! くそっ、カラフルにしちゃる!」
「ぎゃー! 理一やめてぇぇえ!!」
裏庭に、あたしたちの笑い声が響いた。



