理一はいつもあたしを家まで送ってくれていたけど、送ってもらうのはやめた。
だいたい、校門を出てあたしは右、理一は左なんだから、理一があたしを送るのは無理があったし。
きっと京のこともあるから、何も言葉にしなくても、自然とそうなった。
だから理一と一緒に帰っても、校門で別れることになる。
「じゃーな」
「うん」
「明日はサボんなよ〜」
「だから寝坊だってば!」
理一はケラケラ笑って、手を振って帰っていった。
理一の背中を見送ってから、あたしは小さい溜め息をつき、踵を返して家に向かう。
京が帰ってくるまで、理一にはほとんど毎日家まで送ってもらっていた。
手を繋いで、頬にキスされて。それが日常だった。
だけど、それはもうできない。
理由なんて、あたしが1番知っていた。
罪悪感が心に染み渡って、広がっていったから。
京への罪悪感なのか、理一への罪悪感なのか。
答えはどちらも、だ。
拭いきれない罪悪感が、あたしの中でジワジワと広がっていく。
……あたしはまだ、京か、理一か、決めることができないままでいた。



