「綾〜! 帰ろーぜー」
「ちょっと待ってっ」
理一が教室のドアにもたれかかって「早くー」と騒いでる。
「朋バイバイ! 今日も委員会?」
「うん」
「頑張ってね!」
「ありがとっ。バイバイ!」
朋に手を振って、理一の元へ行く。
「遅いが」
「理一が早過ぎるんだよっ」
「出入り口でケンカすんなや〜」
まるで邪魔だと言わんばかりに、和也があたしと理一の間を通り抜ける。
「京、帰ろーぜぇっ!」
和也は振り向いて、まだ教室にいる京に声をかける。女の子に囲まれていた京はカバンを持って、女の子たちにバイバイと言ってあたしたちのほうに向かってきた。
「モテモテですな〜」
和也はニヤニヤしながら、京の肩を肘でつつく。
「転校生が珍しいだけだが」
そう言った京と目が合い、微笑まれた。
「綾もよく囲まれちょったがね」
「えっ……そうかな?」
「そうだけん」
京はフッと笑って、和也と並んで帰っていった。
…………。
「俺らも帰っかー」
「あ、うん。帰ろー」
あたしと理一は他愛もない話をしながら、下駄箱へ向かった。



