さまざまな想いが絡まって、それぞれがやっとスタート地点に立てた夏休みが明け、今日から授業が始まる。
なのに……。
「寝坊した……」
鳴り響いていた目覚まし時計に手を置きながら、10時32分というデジタル表示にがっくりと肩を落とす。
昨日の始業式にはちゃんと出れたのに、まだ体は夏休み気分か……。
溜め息をついてベッドから降り、カーテンを開ける。眩しい陽の光に目を細めた。
ベッドに置きっぱなしの携帯を拾い、受信したメールを確認しながら部屋を出る。
理一、和也、朋、京。
受信ボックスには、4人の名前が縦一列に並んでいた。1番上の理一からメールを開く。
“サボっちょらんで早く来いや”
サボったわけじゃないもん!
洗面所に入り歯を磨きながら、和也のメールを開く。
“また寝坊か〜?”
またとか言われた……。
一度携帯を置いて、顔を洗う。髪をブラッシングしてから再び携帯を持って、リビングへ向かった。
“遅刻しちゃダメって言ったでしょ!(●`ε´●)”
「ぶふっ!」
朋のメールに思わず吹き出す。
怒ってるよ……。朋は優等生だからなぁ。
クスクス笑いながら、最後に京からのメールを開いた。
“川で遊んどるなら俺も誘えや”
「遊ぶわけないから!」
静寂なリビングに、あたしの声が響く。
川って……京じゃあるまいし。どんだけ川が好きなのよ。ほんと、野生児なんだから。
笑いながら携帯を閉じ、ジャージのポケットに入れる。
テーブルの上にはパパが握った不格好なおにぎりが置いてあった。
朝ご飯を食べてから行こう。そう思って、あたしは椅子に座った。