「……ピアス?」
「綾が開けたいって言うけん、開けただけだが!」
叩かれた頭をさすりながら、プンプン怒る律兄。
「あぁごめん。綾、見せて」
「謝罪軽っ! 扱いヒドッ」
律兄を無視して、京はあたしの耳を見る。
「消毒しなきゃダメだが。律兄、消毒液。あとピアス」
律兄はぶつぶつ言いながらも、京に消毒液とファーストピアスを渡す。
「ちょっとしみるけん」
「……っ」
吹きかけられた消毒液が、少し痛みを和らげる。
「穴ができるまで、このピアス1ヵ月は外しちゃダメだけん」
そう言って、京は手慣れた手つきでピアスを付けてくれる。
「………」
触れられた耳が熱い。
ドキドキする胸を、なんとか落ち着かせた。



