「あー、極楽」
綾と京は、川辺に寝そべっていた。
「フフッ」
「何笑っちょー」
だって、ふたりだけってことが嬉しいんだもん。でもそんなこと、京には言わない。
「みんなが学校行ってると思うと楽しくて」
嘘ではないもんね。
「俺も綾とサボるの楽しいけん」
「…………」
「綾?」
「眠くなってきた」
顔を草に埋めた。顔が、熱くなったから。
京ってさらっと恥ずかしいこと言う…。
「なん? 寝たいの? ここよりいい場所あるけん、そこ行こっ」
京は上半身を起こして綾の手を引くと、ニッコリと笑う。
「……」
きゅう……と胸が締め付けられる。
京と綾は川を後にして、森に向かって歩きだした。