「京ばかりの綾を……強引にでも引っ張ってくれた……泣く夜も減った……理一が……理一がいてくれたから」
俯いて、ぼろぼろ落ちる涙を拭いもせずに、ただ必死に京の服を握った。
「それをっ、綾は京のせいにしてたっ……京が悪いって……いなくなったからって………自分の弱さを……京のせいにしてたんだよ」
だから、京は悪くないの。何ひとつ、悪くなんてないの。
「京を忘れて、理一を見ようと思った。……そう、思ってたのに。綾は……京に逢いたかったの。……ずっと、ずっと、逢いたかったんだよ」
忘れない。
忘れるわけがない。
忘れるなんて、できない。
「誓ったのに……覚えてなかった……ただただ愛されてると思ってたから……京の言葉しか、覚えてなかった……」
綾は、京しか見えてなかったんだよ。
……それなのに……。
「綾……」
京のか細い声が聞こえたけど、あたしは顔を上げない。



