「……幸せにする、忘れ方なんて五万とある。思い出にしろって……言われたの。あたしね……その時に……京を、忘れるって決め……」
突然、京の右手があたしの顔の前にきた。
もう喋らなくていいと、そう言ってるみたいに。
「……京?」
京は右手を引っ込めて、自分の顔を覆った。
「……帰って」
え……?
「っあたし、まだ――」
「ごめん!!」
ビクッと、体が揺れる。
……京?
「ごめん……今日は帰って……」
「なんで……」
まだ話してない。まだ話すことがあるのに……。
京は顔を覆って俯いたまま、何も言わない。
薄暗くて、京の顔が見えない。
怒ってる? 呆れてる? ……分かんないよ。
「京……」
お願い、こっちを向いて。



