「いらっしゃい」
京の家に行くと、京ママが迎えてくれた。
「こんばんは」
「今ね、陸くんが来ちょるのよ」
「え……陸?」
あ……だから律兄、1回携帯置いたのかな。
「とりあえず入っちょって?」
「あ、お邪魔します……」
「あら、陸くん」
ミュールを揃えていると、階段から下りてくる足音が聞こえた。
「帰ります。お邪魔しました」
陸は京ママに微笑んでから、あたしを見た。
「京、部屋におるけん」
「……陸はもういいの?」
「これからいつでも逢えるが」
そう微笑んで、陸は靴を履き始める。
「綾ちゃん、飲み物いる?」
「あっ、大丈夫っ」
「そう? じゃあゆっくりしてってね」
リビングに入る京ママを見送り、陸に視線を移すと、陸は靴ひもを結んでいた。



