ドア付近に残されたあたしと陸と陽子。
「「「…………」」」
3人とも無言。
「綾……」
「やめて陸っ、何も言わないでっ」
あたしは両手で耳を塞ぐ。
分かってる、分かってるよ。何だあの言い争いは。
恥ずかしすぎる……。
「痴話喧嘩」
ボソッと言う陸に顔を赤くする。
「違うから!!」
「良かったね綾」
「……、陽子……」
「普通に話せちょるが」
「……うん」
ほんと、信じられないくらい普通に話せていた。
「で、何で川遊び?」
「そう! 京ってば川見て、目超キラキラさせたんだよ!?」
「ぶっ」
陸がまた吹き出す。
「ダメって言ってんのに聞かなくて、諦めたと思ったらあたしを川に放り投げるし」
「あははっ、京らしいが!」
「笑いごとじゃないよ!」
「京が変わっちょらんってことだけん。よかったが」
陸が嬉しそうに微笑む。
「……」
そっか。……変わってないってことか……。京、変わってないんだね……。
胸が、温かくなる。
「また4人で遊びちょーね」
「……だね」
あたしがそう言うと、陸も頷いた。



