ザリガニを持った手を大きく振りかざす京。


いやぁぁあ!! 身構えたあたしに反して、京が突然後ろに仰け反る。


ばしゃん!


…………。


「ぶっ……きゃはは! すべってるし!」

「だー! もうっ!」


起き上がった京は恥ずかしいのか、水面に手を叩きつける。


笑いが堪えきれず京を見ると、京も笑っていた。


とても幸せそうに、微笑んでくれた。


……京……。


「はーウケた! そろそろ行くかや」

「……うん」


川から上がり、京がぷるぷると犬みたいに頭を振って水滴を落とす。


「あーっ、びしょ濡れ! しかも泥まみれっ」

「誰のせいよ」

「はははっ」


笑いながら服を絞って歩く京の背中を見つめる。



京……おかえり……。



太陽が照りつける中、あたしたちはゆっくり学校まで歩いた。


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