「パパ! 今日も遅いの!? ねー!」
昨日、仕事で帰りが遅かったパパを揺すり起こす。
「綾……。寝かせて〜…」
夜遅くまで家で仕事してたのかな?
「……だってパパ、ご飯がない」
────がばっ!と、パパが勢いよく起き上がる。
「そうだった! ごめん綾っ! 何かあったかなっ」
「あははっ! ごめんパパ、嘘だよぉ。綾、ご飯作れるようになったじゃん」
「え? あぁそっか。簡単なものは教えたもんね」
「今日遅くなるか聞きたかっただけ。明日からは仕事行く前に紙に書いててね」
ニコッと笑うと、パパは綾の前髪に触れる。
「……ママに似てきたねぇ」
パパはベットに伏せながら、懐かしそうに綾を見つめる。
ママはとっても綺麗な人だった。似てるなら、嬉しい。
「……可愛い?」
「うん。世界一可愛い」
パパは幸せそうに微笑んで、親バカだなぁと思いつつ、顔がほころぶ。
「どういう時に可愛いと思う!?」
「えっ!? そ……そうだなぁ、1人称を私じゃなくて綾って言うとき…?」
「ふーん…」
半疑問系だったのが気になったけど、決めたっ。
これからもずっと自分のこと、綾って言おう!