「うわ、めずらし。綾が俺より先に来ちょーなんて」
「は……はは……」
苦笑いを浮かべると、理一はあたしの隣に視線を移した。
……っ!
「最後〜、わがまま言って1番後ろの席の三波〜」
「はいはい!」
ナイス先生!
あたしは席を立つのと同時に、机の横に掛けていたカバンを持った。
「あ? おい綾!?」
理一が叫ぶも、あたしは止まらない。先生の話を聞かず、手に持っていたあたしの成績表だけを奪い取り、ぽかんとする先生を尻目にドアに向かった。
「早退する!」
ガシッ!!
「ぎゃっ!」
「座りんしゃい……三波?」
痛い! 怖い!
「……はい。すみません」
カバンを掴んだ先生の手は、血管が浮き出るほど力が入っていた。
クラスメイトの笑い声なんか比じゃないくらい、和也がひときわ爆笑したけれど、あたしはそれどころじゃなかった。



