「も~、このふたり、付き合っちゃえばよかと思わん?」


じゃれてるように見えたのか、照れながら笑う朋。陽子と陸は苦笑い。


「朋、いいからそーいうの!!」


なぜか焦ったあたしは朋を遮る。


「なーに焦っちょるの、綾ちゃん」


理一はニヤっと笑って、あたしの頭を小突いて歩き始めた。


「ちゃんと考えろよ~」


理一はひらひらと手を振って、教室を出ていく。この雰囲気の中にあたしひとりを置いていくなんて最悪だ。


「……えっと」


案の定、あたしはしどろもどろ。


「いいんじゃない」

「へっ……」

「いや、……未定クラスもあるみたいだけん、綾が考えて出したなら、何でもいいけん」

「あ、うん」


それだけ言うと、陽子は席を立った。陸も続いて立ち上がる。


いたたまれなくなって、「……陸」と思わず呼んでしまった。


振り向いた陸はあたしと目を合わさず、恋愛文系と書かれた紙に視線を落とす。


「文系より理数系じゃなか?」

「……進路別の話だよね?」


陸は目を合わせたと思ったら、言葉の代わりに寂しげに笑った。