京が、東京から帰ってくる。
いつ帰ってくるのか、高校はどこなのか。分からないことがたくさんある。
だけど、どうだっていい。
あたしは理一からネックレスを受け取った時、決めたんだから。
理一をちゃんと見ると。
京ばかりの自分を、忘れようと。
「……忘れなきゃ」
耳に残るあの声も、時間が経てば忘れられる。
この心に渦巻くものも、気のせいに決まってる。
笑っていれば、平気。笑っていればいい。
笑っていれば……笑ってなきゃ……。
「……っ、や……だもぅ、泣くことなんか……何もないのに」
しゃくりあげるあたしの声が、冷たいコンクリートに響く。
許されないことなのに。あたしには理一がいるのに。
どんなに自分を偽っても、あたしの心は素直だった。
いくら仮面をかぶっても。
あたしの涙が、それを外させる。
京に、逢いたい。



