律兄はスタスタとソファーに戻って、コーヒーをすする。
な……なんなのいったい……。
電話機本体の画面に目をやると、《再生中》の文字。
何の!!
受話器からは、サー……と機械音が聞こえるだけで、あたしは律兄のほうを見る
「何も聞こえな……」
その時だった。
ほんとに一瞬、聞き慣れない声が聞こえたんだ。
プツッと音が切れ、もう一度画面を見ると《再生終了》と表示されていた。
あたしは茫然とする。
聞き慣れない声。でもどこか、確かに懐かしい声。
────元気?────
「───……っ!!」
ガチャンッ!と乱暴に受話器を置く。
耳に残る、甘い声。胸の鼓動が、やまない。
「律兄………」
「ん?」
やられた。律兄はあたしの話が何だか、分かっていたんだ。
こんなことされたら、もう避けられない。
拳をぎゅっと握って、口を開く。
「京が帰ってくるって、ほんと?」



