────トゥルルルル。
あたしの声は着信音によってかき消され、律兄は電話機に向かう。
帰るタイミング逃しちゃった……。
「綾ちゃん、はい」
「あ、ありがとう」
京ママが紅茶を持ってきてくれて、さらに帰りづらくなる。
どうしよう……。
ふと、律兄に目をやった。
「ふーん。え? ……今? 綾来ちょーよ」
えっ、あたしの話題!?
「えー、うん? ……ちょ〜待って。何? 聞こえんがー、もっかい言って?」
律兄はさっきから受話器のボタンを話しながらいじってる。
「あ〜元気元気。おー……おー……はいじゃ〜ね」
電話を切ると、また受話器を取ってボタンを押している。
いったい何をしてるんだろうと思っていると、「綾」と突然呼ばれ、手招きをされた。
「え……何?」
素直に律兄のとこまで行くと、律兄は微笑む。
「しばらくそのまま」
「えっ……えぇ!?」
律兄は受話器をあたしの耳に押し付ける。反射的に受話器を受け取ってしまい、それを確認した律兄はすぐに手を離した。



