────ピンポーン。


あたしは久しぶりに京の家へ。

修学旅行で京を見かけて以来、あたしは高校受験を理由に、再び京の家へ寄りつかなくなっていた。


それでも家に着くなり、ためらいもせずインターホンを鳴らした。


決心など、とうについていた。迷いすらなかった。


京の家の外見に、特に変化はなく、郁子の言っていた段ボールも見当たらなかった。


ほどなくして、ガラッと玄関が開く。


「いらっさい」


律兄が迎えてくれた。だけど、笑顔を向けることはできなかった。


「……入って。リビングでいい?」

「うん、お邪魔します」


律兄はリビングに向かい、あたしは後ろをついていく。リビングに入ると、京ママがいた。


「遅くにごめんなさい」


あたしのひと言に、京ママはにこりと笑った。


「そんなこと気にせんでいいけん」

「そーそー。今さら畏まることでもないが」


律兄はケラケラ笑いながらソファーに座る。