「………」
その引き出しには、京からの手紙と、律兄にもらった写真が入っていることを、あたしが1番よく知ってる。誕生日にもらった、ハートのネックレスも。
あたしは京を忘れると決めたのに、手紙も写真もネックレスも、捨てることができなかった。
「あぁ、もうっ!」
ドンッ!と、拳で布団を叩く。
やりきれない、この憤り。
あたし自身、どう処理していいのか分からなかった。
「やだもぅ……」
はっきりしたい。
郁子と話してから、心にはモヤが掛かったまんまだ。
このままなんて嫌。理一と一緒にいても、ふとした瞬間に郁子の言葉が頭を巡る。
「帰ってくる……ね」
寝返りをうち、目を閉じる。