「5月になったら成虫になって今よりもっと強く発光するけん、感動するが」

「そうなんだ……見たいなぁ」


規則的に明滅する光を見ていると、


「儚いよな……」


京がぽつりと呟く。


「こんな綺麗なんに、1週間しか生きられん」

「…………」


こんなに綺麗な光を醸し出す蛍は、たった1週間の命しかないんだ……。



そう思ったら、頬に温かいものが流れた。


涙が溢れる。


命は儚い。望んでなくたって、いつか訪れてしまう運命。


大好きな、大好きだったママを、思い出していた。


もう逢うことができない人……。