「着いたが! もう目ぇ開けていいけんっ」
熱に翻弄されているうちに、秘密の場所に着いたみたい。
「うっわぁ!!!」
目を開けた綾の視界に広がるのは、いくつかの輝く光。
その光は地を照らし、明滅を繰り返していた。
「綺麗じゃろ!」
「うん……うん!!」
綾は力強く頷く。
「これ、何の光?」
「蛍。今は幼虫じゃけど、全部蛍の光だけん」
……蛍。
虫なのに、こんなに綺麗だなんて……。
失礼だけど、本当にそう思ったんだ。
ゆっくりと、徐々に明るくなって。またゆっくりと、光を消していく。繰り返されるそれを見ていると、じんわりと胸が温かくなった。
「すごいね……すごいよ。初めて見た」
言葉が見つからず何度も瞬きしていると、京が笑った。



