目を開けると、部屋はすっかり暗くなっていた。


「やば……綾寝て……」


とっさに口を押さえる。


「あたし寝てたねっ」


自分を、綾と呼ぶのをやめた。


小さいことから変えていこうと思った。


ベットから起き上がり、カーテンを閉めてリビングに向かう。


「あ……電話……」


理一に電話するのを忘れていた。


家の受話器を手に取り、携帯を買ってもらおうとぼんやり考えながら、理一の家へ電話をかける。



まだ寝ぼけているんだろう。


目が覚める瞬間、京の姿が脳裏によぎった。ぼやけて、顔ははっきり見えなかったけれど。




雪が降る頃、散ったのは雪。


『はい、穂高です』


それから、京との記憶。


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