「……俺、」
理一が下を向いたまま呟く。
「代わりでもいいけん」
「……理一」
「俺、京にはなれんけど、綾を幸せにはできるが」
不意に、教室で成された会話を思い出した。
『あのふたり、ついに付き合っちょー!?』
「……うん。分かってるよ」
理一の気持ちは、痛いほど分かってる。
「じゃ……勉強会の予定立てたら電話して」
「うん」
理一は綾の目を見て、手を振って帰っていった。
その姿を見送ってから家の鍵を出し、誰もいない我が家に入る。
「……代わりなんかじゃないのに……」
部屋の中でぽつりと言葉を落とし、ぼすっ、とベットに横になる。
そのまま目を閉じて、修学旅行の日を振り返った。



