──────…
「綾ー。帰るがー」
理一が教室のドアから叫ぶ。
「待って! 早い!」
あたしは急いで黒いピーコートを着て、チェック柄のマフラーを巻く。
かけ足で理一の元へ行くと、理一があたしの手を取る。
「───っ!」
「んじゃ皆様、よいお年をー」
理一はまだ教室に残っているクラスメートに、今年最後の挨拶をした。
「ば、ばいばいっ」
あたしも軽く挨拶をする。
絶対顔赤い……。
ドアを閉めると、教室がざわつくのが分かった。
切れ切れに聞こえたけど、理一の表情は変わらなかったから、あたしも自然にした。



