ホテルの入り口までみんなを見送り、部屋に戻る。
綾しかいない部屋は、静寂で包まれていた。
テレビもつけず明かりもつけずにいると、太陽の光だけが部屋を照らす。
薬を飲んで寝よう。
そう思って、洗面所で水をコップに注ぐ。
ゆっくりゆっくり、コップに水が溜まる。
水面が揺れ、またひとつ、またひとつ。こぼれるたびに、水面が円を描いて揺れる。
「ふっ……う……」
コップを持ったまま、ズルリと床に腰を落とした。
どうしてだろう。
京の姿が目に焼き付いたまま、褪せることがない。
泣きたいわけじゃないのに、涙が溢れ出す。
またひとつ、またひとつ。
京への想いがこぼれた。



