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「綾、大丈夫?」
「うん、平気」
綾はまだベッドの中。昨日の夜、朋の声を最後に意識が途切れた。
軽い発作を起こしたからだった。
「ごめんね。綾のことは気にしないで、楽しんできてね」
そう言って、そばにいる陽子と朋に笑顔を向けた。
今日は一日中自由行動の日。本当なら、綾も遊園地に行く予定だったけれど、体調不良を理由に行けないとみんなに知らせた。
陸と陽子には発作を起こしたと伝え、ふたりは何も言わずに寂しく笑った。
「何が欲しい?」
顔を上げると、部屋のドアにもたれかかる理一の姿。
「欲しいもの?」
何だか、あやされてるみたいで笑ってしまう。
「今聞いたけん、行けんて?」
「うん。ゴメンね」
「いいが。で、何欲しい?」
「んー……何でもいいよ」
考えるそぶりをしながら、欲しいものはないと、心の中で思っていた。
綾は、手に入らないものを望んでる。
「買ってきちょーもんに、文句は言わせんが」
理一が不敵に笑い、「何でも嬉しいよ」と綾も笑い返す。
「ゆっくり休めよ」
そう言って、理一は部屋を去った。
……理一は優しい。気が利く。
綾の申しわけないと思う気持ちを、いつまでも引きずらせないように、後腐れなく去っていく。
心が、少し楽になった。



