……ああ。やっぱり。
人違いなんかじゃなかった。
京が振り向いた瞬間、ホームから降りてきた沢山の人の波が襲った。
人混みで、京を再び見つけることはできなくて。
理一に引かれる右手の力に負けて、走らざるを得なかった。
────プシュー…────
電車に乗ったと同時に、電車のドアが閉まった。
ゆっくりと動き出す電車の窓に、情けない顔をした綾が映っていた。
不規則な呼吸が、乱れた髪が、震え始めた体が、さっきの出来事は現実だと訴える。
京は気付いたのだろうか。綾の、声に。
ありえないと思うのに、振り向いた京の瞳は、確かに綾をとらえた気がする。
その後、どうやってホテルに戻ったのか覚えていない。
先生に、怒られていた気がする。
それから陸と陽子が、ひどく悲しい顔をしていた。



