陸と綾の異変に、みんなが気付く。
「……どうし……」
陽子も気付いた感じがした。
無造作な黒髪の、後ろ姿。
立ち止まって、友達であろう人たちと話してる。友達が笑ってる。
その光景は、行き交う人たちで見え隠れする。
放たれる、あの人だけの雰囲気。
忘れるはずない。
忘れるわけがない。
忘れるなんて、できない。
「綾っ!! 呼べっ」
不意に陸が綾の肩をつかむ。
……呼ぶ? ………何て? 何て呼べばいいの?
「綾っ!」
陽子の声が震えていて、泣いてるのが分かった。
「……電車くるがっ。どうしたけん!」
朋の声が聞こえた。
喉が、カラカラだった。声を出したくても、出せない。
見え隠れする京の後ろ姿を、ただ見てることしかできなかった。
───ぐんっ!
「!?」
突然、手を引っ張られた。



