会話は途切れることなく、帰宅ラッシュに見舞われた渋谷駅に向かう。
駅は沢山の人で埋め尽くされていて、知り合いが6人しかいないと思うと、少し怖くなった。
「陸の言う通りだが」
不意に理一が口を開く。
「え?」
「何でもないけん」
「……」
理一もこの人混みを見て何か思ったのかな……。
「次のに乗ろう」
朋が言って、事前に買っておいた切符を持って改札口に向かう。
「楽しかったねーっ」
隣の改札を通る陽子に笑顔を向ける。
「うんっ。明日も楽しみだけん」
切符を通して、1番線に向かう。
────ドン!
「いたっ! 陸? 急に止まんないでよ〜。危な……」
言葉を言いかけて、止めた。陸が、今通った改札口の方を勢いよく振り向いたから。
気になって、綾も振り向く。
人の多さで何を見ればいいか分からず、目が泳ぐ。
「陸? 何見て……」
一瞬、景色が止まった。
似てる人なんてたくさんいるのに、綾には分かった。



