「これ可愛い!」
綾が手に持つのは、白のニットのワンピース。
「綾っぽーい」
と陽子と朋に言われ、さっそくレジに向かう。
あ、理一……。
立ち止まり理一を見ていると、理一も綾に気付く。
「何それ。ワンピ?」
「可愛いでしょー」
「……黒のほうがよくない?」
「白が好きなんだもん」
「汚れたらどうするが。黒のが絶対似合っちょーよ」
笑顔で言う理一に気圧され、何も言わない綾に理一は続ける。
「京に会うかもしれんけん。おしゃれすれば」
理一の皮肉っぽい言い方に、ムッとした。
「理一には関係ないじゃん!」
理一の顔も見ずに、レジに向かう。
やめてよ。
京に会うなんて、そんな奇跡なこと。あるはずがないじゃん。
ワンピースを白から黒に変えることはなく、帰りの車で旅が楽しくなることを祈った。



