あれは綾の誕生日。
泣いていたのを覚えてる。
京は困ったように笑っていて。
『それって喜んでんのかや?』
綾は素直に答えて。
『すごい嬉しいよ?』
『なら、よかったけん』
京はあの、とても愛しく感じる笑顔で、微笑んでくれたんだ。
「綾?」
根岸さんに呼ばれて、まるで夢から醒めたように現実に戻った。
「あ。ごめん。何?」
笑顔で言ったのに、根岸さんの顔は心配そうに綾を見ていた。
「……ううん。……ね、あたしのこと根岸さんじゃなくていいけん。朋美って呼んで?」
「朋ちゃんっ」
根岸さん……じゃなくて、朋は口を押さえて笑った。
理一は何も言わずに、綾の隣に立っていた。
昼の陽射しが、綾の大事な大事なハートのネックレスを照らして、ラインストーンに形どられたハートが、光をたえまなく反射して輝く。
輝くハートの金属部分が、少しだけ錆びていた。
まるで、綾の心を表しているような、ハートのネックレス。
京がいなくなって、3度目の冬が訪れようとしていた。



