理一の想いがみんなに認知されて以来、綾はゲッソリ。
「ありえないんだけど」
「なんかや?」
「信じられない」
「何怒っちょー」
笑いながら、綾の髪を巻いている理一を睨む。
「愛されなくても愛したいって何よ!」
「俺の気持ち〜」
何を言っても無駄な気がして、黙って前を見る。
綾が怒ってるのは、今日の昼の出来事。
理一が男子の輪の中でいきなり恋愛論を語り始めて、綾への恋心を大演説しまくったのだ。
「でっきたぁ〜! はい、鏡」
いつの間にか理一は綾の髪を巻き終わったらしく、色々言いたいことを飲み込んで鏡を覗き込んだ。
「……すっご」
綾の真っ直ぐだった髪はどこのキャバ嬢?ってぐらい、ゴージャス巻きになってた。
「ふふーん。俺、得意だけん。髪いじるの」
「すごいね!」
怒りなんてすっかり吹き飛んでしまった。
雑誌で見るモデルみたい。髪だけは!
「綾さぁ……アッシュにすれば?」
「……はい?」
いきなり、何?
「髪の色。綾、アッシュ系似合うが絶対」
「んー……」
「俺が染めちゃるけん。今日俺ん家来いや」
勝手に盛り上がってるし……。でも、悪くないかも。
「ちゃんと綺麗に染めてよ?」
鏡越しにそう言うと、理一は「任せろ」と、笑った。



