「じゃあ理一くんと綾は何でもないんかや」
綾の目の前に座る子が、心なしか喜んでいるように見えた。
同時に、ヤバいと思った。
理一の考えてることが分かって、止めようとする。
「でも俺、綾が好きだけん」
時すでに遅し。
「理一っ!」
勢いよく振り向き、1発殴ろうと思ったのに。あまりにも理一の整った顔が近くて、胸が高鳴った。
それに気付いたのか、理一は綾の首に回していた手に力を込める。
「───っ!」
ジタバタしても離してくれない。しかも理一は面白がって綾を抱きしめた。
キャー!という女子の声が響いたけど、綾はそれどころじゃなかった。
理一の腕を払う前に胸の高鳴りが半端じゃなくて、顔を赤くしながら、ただ緊張していた。



