「郁子より美人な奴初めて見たけん」
「いくこ? あぁ、朝すごい顔で睨んできた子かぁ……」
「ん? 何で睨まれたん」
鈍い……?
「んー、分かんない。気のせいかもっ! 郁子も可愛いけど、陽子も可愛いよねっ」
自然に話を逸らすと、京は笑ってクラスメートと話す陽子を見てから綾に視線を戻した。
「陽子サバサバしちょるし、いいやつだけん。きっと綾と気が合うが」
「う、うん。ありがとっ」
京の優しい笑顔に頬が赤くなるのを感じながら、他愛もない話を続けていると外はすっかり暗くなっていき、みんな帰ることになった。
みんなを玄関まで見送り「また明日」と手を振った。
田舎の夜は暗いな。先頭に並んでる子たちがもう見えない。
ほとんどの子の姿が見えなくなり、もういいかな……と、家に入ろうとした時。
「綾、綾っ」
後ろからものすごく小さな声で呼ばれ、不思議に思って振り向く。



