「ごめん理一。これからも友達でいてよ」
精一杯の笑顔で言ったのに、理一はまだ真面目な顔をしている。
理一が発したひと言で、胸がえぐれるように痛んだ。
「待っててと言わん男が、綾を幸せにできるなんて俺は思わんが」
やめてって……言ってるのに……。
「……理一、ごめん。ごめん……」
俯いて、流れる涙を隠した。
何で、綾は弱いんだろう。
こんなに泣いて、何になるの。
「綾。俺、待つけん。そばにおるから、俺を見て」
そして理一は綾のおでこに軽く、付いたのか付かなかったのか分からないほど軽く、キスをした。
「また……新学期」
顔を上げると、理一は少しだけ口の端を上げて、目を細めていた。
理一はそのまま暗闇に消え、いつのまにか花火は終わっている。