「まーつりぃ〜っ、ヒャッホー!」
「テンション高っ!」
夏祭りが行われる神社へ続く道は、もうすでにたくさんの人で賑わっている。律兄と並んで歩きながら、ぼんやりと、隣にいるのが京だったら……と考えていた。
「……律兄、誰と祭行くの?」
「ん? 内緒〜」
「何それ」
頬を膨らませてみせると、律兄は声を出さず笑った。
「あ」
律兄の声に、前を見る。立ち止まりそうになった足を、無理やり前に出した。
「ほんじゃー、俺行くけん」
律兄は軽快に人混みへと走っていった。取り残された綾は、ゆっくり歩く。
揺れる人混みの中に、ひとり静止する人がいた。
「歩くの遅いが〜」
微笑む彼を、見つめる。
「……うるさいよ」
「ヒドッ」
「……」
不自然に目を人混みに向けると、いきなり手を握られた。



