「律兄……おかえり」
流した涙を隠そうともせずに、淡々と言った。
「ん」
律兄もただ返事を返した。沈黙が流れ、それを律兄が破る。
「……理一が、明後日の夏祭り一緒に行こうって、言っちょった」
「……あぁ、うん」
「ちなみに2人でだが」
「……分かった」
「……いいんかや?」
「……何が?」
引っ掛かんないよ、律兄。
綾だってそんなにバカじゃないよ。
「……やーめた」
律兄が綾の横にドカッと座り、綾も体を起こして向き合う。
「綾。素直に答えろ」
「理一のことなら好きじゃない」
律兄は少し目を見開いて、すぐ言葉を見つけて言った。
「……好きになる要素は、そろっちょるが」
「そうだね。でも好きじゃないよ」
冷たく言い放つ綾に、間髪を容れず律兄が言う。
「反対しちょるわけじゃないけん」
「どっちでもいいよ」
そう言った途端に、肩を掴まれた。
「投げ出すなや!」
真剣で、必死な表情の律兄。掴まれた肩が、熱い。綾はその手を振りほどいた。



