「アイス! ほれっ」


そう言った理一の右手に、アイスがあった。


……これ、前奢って貰ったアイスじゃん。


「理一、アイスはもういいよ」

「俺があげたかっただけだけん」


余りにも満面の笑顔で言うから、断れずにアイスを貰った。


「……ありがと」

「どーいたしましてっ」


そう言って理一はさっさと自分の席に着いてしまった。ふと律兄を……いや、恐る恐る見ると、案の定理一を凝視していた。


やっぱり……バレるよね。綾にキスしたのが、理一ってこと。


「綾。あいつ?」


さっそく!?


「り……律兄……喧嘩とかはその……やめてよ?」

「大丈夫だけん」


律兄は笑ってたけど、本当かなと心配になった。


「ちょっと。りいち……くん?」


律兄が声をかけると、理一が顔をあげた。


「え? ……誰?」

「ちょっと学校終わったら、お兄さんと遊ばなーいっ?」

「はぁ、いっすよー?」


えぇっ! 理一も軽く答えすぎでしょ! そこはもっと不審に思ってよ!