ふと和也を見ると、茶髪の髪が光に透けていた。


「……綾も髪染めよっかなあ」


和也が寝転んだまま、綾を見つめる。


「もう染めちょるじゃん」

「これ自毛だもん」

「あ。そーなの?」

「薬の副作用」


頷きながら答えると、和也は「あぁ」とだけ言った。


「体育祭ん時、調子よかったんかや?」

「……うんまぁ」


だって運動したら発作起きるわけじゃないもん。


「まぁ、元気で何よりね」

「何キャラ」

「うっせ」


和也は好きだ。お調子者だし、何でも軽く考える奴だけど、それに助けられることもある。


実際、綾が病気だと分かっても変わらず接してくれるし。


大概の人は遠慮がちになるから、変わらずに接してくれる和也は、大事な友達。


「あー。早く夏来ないかや〜!」


和也が叫ぶと同時に、空を見上げた。


蒼い、朝と変わらない空。
その蒼い空模様から、夏が近いよ、と知らされた気分だった。


中2の夏が、近付いていた。