「……大丈夫?」
律兄の言葉に、立ち止まる。
大丈夫? 何が?
明日迎えに行かなくてって大丈夫?ってこと?
それとも……綾が?
「……なんとかっ」
笑って誤魔化すと、律兄もそれ以上、何も言わなかった。
リビングを出て、階段を見つめる。上れば、京の部屋がある。だけど上らない。上りたくない。
「気ぃつけてね」
後ろの律兄の声に一瞬体が揺れて、振り向く。
「うん。またね」
「ん」
律兄が手を挙げて、リビングに戻った。いつもなら綾を家まで送ってってくれるんだけど、今日はそうしない。
律兄は分かってるんだ。綾が、ひとりで帰りたいってこと。
京の家を後にすると、すっかり夜が更けて鳥が鳴いていた。
淋しいのかな。楽しいのかな。
それとも、愛を囁いているのかな。
鳥の囁きを聞きながら、家までの道をゆっくり歩いた。



