「んで? 何があったかや?」
リビングにお邪魔してソファーに腰掛けてすぐ、律兄が携帯をいじりながら聞いてきた。面と向かって言えないから、それでよかった。
「えと……クラスの友達にね?」
「イジメ!?」
「う……ううん、違う」
勢いよく顔を上げた律兄に首を振ると「なんだ」と言って、再び視線を携帯に戻した。
「あのね、……キ……キスされたの」
───ガチャンッ。
携帯を落とした律兄を見ながら、付け加える。
「……ほっぺなんだけどね」
今だに固まる律兄。
「……り……律兄?」
ゆっくり律兄が顔を上げて、その表情は固かった。
「明日迎えに行くけん」
「へ……? なっ、何で?」
「俺の妹に手を出すとは、いい度胸だけん……」
あわわ……完全にキレてますよね!?
「やっ、やめて、やめて! ていうか綾が気まずいしっ」
「つーかよー! そいつの意図は何かや!?」
「……綾にも分からないです」
律兄はご機嫌ナナメの様子……。話す人、間違ったかも……。
「……それだけ話したかったんだけど……綾、帰るね」
逃げるように立ち上がると、律兄が綾を見つめて言った。



